こいつとは有名な渋谷のジャズギター専門店で出会いました。たまたま東京に行く用があり、空き時間に楽器屋めぐりを企んでいたのですが、当初は左用に力を入れている御茶の水の某店が目当てでした。そんな予定の2〜3日前、仕事帰りに近所のカフェでサラリーマンジャズギタリストのU氏と遭遇。「東京行くなら渋谷の店は是非行った方がいい」と強く勧められました。「でも左用なんか置いてへんやろ?」と半信半疑でお店のWebサイトを見たところ、なんと左用のGuildが!早速E-mailで「このGuild試奏できますか?他に左用フルアコありますか?」と質問。「試奏OK。他に修理中が1本あり、興味あれば用意できるか確認します。」との回答。「興味あるので是非お願いします。」と返信。
そして東京初日お店を訪問。Guildを試奏しましたが、残念ながらイマイチしっくりこない。もう一本の方は修理から戻ってない。翌々日であれば用意できるかもとのこと。電話連絡もらうことにして店を後に。
翌々日、本来の用をすませた後再訪問し、見せてもらったのがこの一本。当時 Eastman というメーカーすら知らなかった僕は半信半疑で試奏。・・・・っと、いいんですよ、これが!何がといわれてもわからんのですが、しっくり来たんです。 前々日のGuildや別の店で弾いたHeritageはどうもうまく弾けず、ヘボヘボだったのが、コイツを手にしたらJazzyなフレーズがぱらぱらと・・・(笑)つくづく、楽器は「相性」だと思いました。Guild、Heritageなんてフルアコでは定評のあるメーカーで悪かろうはずないんですが、何故か僕にはこれが飛び抜けて「弾く気をそそる」楽器だったんですね。
とはいえ市場評価も未知数のブランド、ディアンジェリコやダキストのライセンス物に手が届いてしまいそうな決して安くはない値段、17インチの大柄なボディ+フローティングPUでハウリングには悩まされそう・・・など、 不安要素もあり、長時間居座って悩みましたが、何より弾いたときのタッチや出てくる音のフィーリングを大事にしたかったんですね。 装飾を排した超シンプルなルックスもポイント。この手の楽器では定番の「貝」を一切使わず、ポジションマークなし、ヘッドのインレイも「木」です。
1年落ちの中古でしたが、少なくとも当時Eastmanのカタログに左用はなく、おそらくユーザーかショップからのオーダーで作られたもの。またお店の方も「E-mailいただいてなかったら今日お見せすることはできませんでした」とのこと。
誰かが左用をオーダーして手放さなかったら、たまたま東京に行く用がなかったら、あの夜U氏と会わなかったら、お店のWebサイトに左用のGuildが載ってなかったら、あのE-mailを入れてなかったら、この出会いはなかったはず。 そう考えると運命的なものを感じます。