ベース転がし 第7回:Fender Precision Bass '64

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「正確な」を意味するプレシジョンベースは、従来のコントラバスに比べ格段にコンパクトかつ格段に音が大きく(もちろんアンプは必要ですが)そしてギターと同様のフレットを装備することで正確なピッチで演奏することができるという、革命的な発明品とも言えるエレクトリックベースの始祖です。

この'64年式(もちろん昭和ではありません)モデルはFender社がCBS社に買収される前に製作された、いわゆるプリCBS期のものです。

プレシジョンベース誕生から数年が経ち、スラブボードからラウンドボード(ベース転がし第5回をご参照ください)に移行してからの楽器ですが、繊細さを併せ持つジャズベースとは違った、ストレートで野太くパンチのきいた男らしいトーンが魅力です。

ジャズベースには及ばないまでもヴィンテージ市場において高額で取引されている楽器ですが、ひょんなことから格安で入手することができました。

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しかしせっかく手に入れたものの、活動における演奏曲やプレイスタイルにいまひとつマッチせず、リハーサルで数回使用しただけで、スポットライトを浴びることもなく手放してしまいました。

長らくケースにしまってあるだけで、気が向いたときに取り出して眺めたり、少しばかり鳴らしてみるだけで、まさに宝の持ち腐れでした。

あるショップに売却しましたが、購入価格よりも高く引き取ってもらえたとはいえ、この不況下で査定額も予想を遥かに下回りました。

まだショップの店頭には出ていないようですが、縁あって手に入れた方にはガンガン使って弾いてあげてもらいたいと切に願います。(2009.4)